キッチン防災術 刃物に慣れる【JAコラム】
食文化・料理研究家●坂本佳奈
本格的な冬が近づき、リンゴがおいしい季節となりました。果物の皮をむいて食べ、刃物の扱いに慣れるため、リンゴの皮むきゲームはいかがでしょう。皮をむく速さを競うのはとても危ないので、どれだけ長くむけるか、どれだけきれいに皮がむけるかを競います。
刃物を持たない手でリンゴを持ち、親指以外の4本で反時計回りに回転させます。それと同時に刃物を持つ手は小指と薬指、中指で柄を握ります。むく方向の皮の上に親指を置き、親指を切らないように皮の下の方へと刃物を動かします。皮を長くむくには、なるべく細く、切れないように一定の幅で、一定の薄さでむく必要があります。意外と集中力と忍耐力が試される作業です。
日常的に料理を作る人だけしか刃物を扱えないというのでは、いざというとき困ります。大人も子どもも刃物が扱えると安心です。リンゴに限らず、梨や柿などの果物の皮むきゲームで手先は器用になりますし、何より毎日おいしく練習できます。切った後はもちろん食べましょう。食べ物を扱うので刃物は包丁が一番のお薦めですが、防災グッズとして折りたたみナイフなどでも構いません。肥後守タイプからアーミーナイフまでさまざまな小さなかわいい刃物が出ています。よく切れる物を選びます。切れない刃物は余計な力が入り、大きなけがをしてしまいます。子どもが扱うときも、切れない方が危険なのです。危険だからと遠ざけていては、いつまでたっても危険なままです。
たくさん皮をむいて、生で食べるには多過ぎるときは、砂糖を振り掛けて煮て、煮リンゴにしてしまいましょう。リンゴは六つに切って種を取り、さらに1cmの厚さに切ります。リンゴ1個に砂糖大さじ1を振り掛けて、フライパンで炒めます。リンゴがしんなりして、少し焦げて茶色になったら出来上がり。耐熱容器に入れて電子レンジでもできます。ジャムの代わりにもなります。
【JA広報通信11月号より】