お米で健康 しっかり消化・吸収させるコツ【JAコラム】
管理栄養士・雑穀料理家●柴田真希
日々いただく食事は消化・吸収されて体の中に取り込まれていきます。では、消化の始まりはどこからでしょうか?
腸から? 胃から? それとも口の中でかんでいるところからでしょうか?
答えの前に、想像してみてください。梅干しがのったほかほかのご飯が目の前に出されたとき。また、ジュージュー音を立てたハンバーグにソースが掛けられて照りの出ている場面、そして香ばしい匂い。
……唾液が出てきませんか? そう、消化は目や耳、鼻など五感で感じるところから始まります。「おいしそう!」と感じることで体が消化する準備を始めます。出ていると感じた唾液も消化液の一つ。胃でも腸でも見えないだけで同じようなことが起きています。しっかりと準備が整って食事が入っていくことで消化・吸収されやすくなるのです。
しかし、携帯電話やテレビを見ながら食べる「ながら食い」をしていると食べることに集中していないため、消化・吸収されにくくなります。
よくかんで食べることも消化・吸収を良くするために大切なこと。かむことで食べ物を細かくし、唾液とよく混ぜることで胃での消化を促します。急いでいるときによくかまずにのみ込んでしまうと喉で詰まったり、胃がキリキリと重くなってしまいますが、これはしっかりと口の中で消化されていない証拠です。繊維の硬い根菜類やひじきなどの海藻類、ナッツ類や玄米などは栄養価も高く積極的に取りたい食材ですが、硬くて消化しにくいという特徴もあります。体に良いと思っても消化・吸収されずにそのまま便で排出されれば意味がありません。
おいしいと感じること、かむことまでは自分の意識で改善できることです。食事はおいしそう!と感じ、よくかんで食べることで消化・吸収を促し、栄養を体に取り込んでいきましょう。
柴田真希(しばたまき) 株式会社エミッシュ代表取締役。Love Table Labo.代表。管理栄養士、雑穀料理家、フードスペシャリスト、1級惣菜管理士、健康食育シニアマスター、漢方養生指導士(漢方スタイリスト)。著書に『女子栄養大学の雑穀レシピ』(PHP出版)『おなかやせ定食』(主婦の友社)などがある。
※このコラムは次回から著者が代わります。
JA広報通信3月号より