JA北新潟

最新情報NEWS

野菜の追熟【JAコラム】

2019年10月28日コラム

食育インストラクター●岡村麻純

果物が大好きな子どもたちは、マンゴーやキウイフルーツを買ってくると、香りをかいだり、触ってみたりして、「もう少し置いておこう」とか「そろそろ食べ頃だよ」と、うれしそうに教えてくれます。この収穫後室温に置いて、より熟させていくことを、追熟といいます。

追熟させて食べる果物として代表的なバナナは、未熟なうちに収穫します。収穫時は、でんぷんが20%ほど存在しますが、20度ほどの室温で成熟させた頃にはでんぷんはわずか1%ほどにまで減り、糖が20%まで増加します。また、バナナに含まれるポリフェノールは未熟のときは渋味になりますが、成熟後は不溶性になるので渋味を感じなくなります。

このように追熟した方が良い果物は、他にもメロンやスモモがあります。また、甘夏やハッサクなどのかんきつ類も少し置くことで酸味が減り甘味が感じやすくなります。実は、果物だけでなく、取れたてがおいしいというイメージの野菜の中にも、追熟させた方がおいしく食べられる物があります。

その一つがサツマイモです。以前、焼き芋好きの息子のために「やきいもファクトリーミュージアム」という所に行きましたが、そこでも、収穫してから湿度管理をした室温30度ほどの貯蔵倉庫で保存をしていました。これは、貯蔵することで、サツマイモのでんぷんがβ‐アミラーゼの働きで糖に分解され、甘味が増していくからです。このβ‐アミラーゼはカボチャにも含まれるため、カボチャも貯蔵することで甘味が増します。

秋になるとわが子の幼稚園では毎年サツマイモ掘りに行きます。帰ってきて、「取れたてのサツマイモだよ」と喜んでいた息子ですが、「サツマイモは収穫したてより少しお休みさせてからの方が甘くなるよ」と言うと、毎日毎日新聞紙にくるまれたサツマイモをのぞき込んで、もう甘くなった? 今日は食べられる? とわくわくしていました。

 

岡村 麻純(おかむら ますみ) 1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。

公式ブログ:https://ameblo.jp/masumiokamura/

JA広報通信9月号より

カテゴリー
アーカイブ