ダイエットとご飯の関係【JAコラム】
ダイエット中に炭水化物をまったく食べないという話を聞くことがあります。ダイエットと炭水化物の関係について考えてみましょう。
ご飯をはじめとする炭水化物は、体内で消化されてブドウ糖になり、活動のためのエネルギー源となります。同じエネルギー源である脂質やタンパク質に比べ、より早く利用されるという特徴があります。ブドウ糖は脳や赤血球の安定的なエネルギー源でもあり、運動も適度に取り入れるダイエットには必要不可欠といえます。
一方で、食事により取り込まれたブドウ糖は血糖値を上昇させます。血糖値が上がると、膵臓(すいぞう)からインシュリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げようと働きます。このインシュリンは、脂肪細胞の合成や脂肪細胞の分解抑制にも働くため、分泌量が多量になると「太る原因」ともなります。そのため、「ダイエット中には血糖値の上がりやすい炭水化物を食べない」という選択をする人も多いのですが、前述のように炭水化物は健康的に生きていく上で大切です。まったく食べないようにするのではなく、血糖値の急上昇を防ぐことが重要なのです。
食物繊維の多い野菜や海藻・きのこ類を先に食べたり、ゆっくりとよくかんで食事をすることで、血糖値の上昇を抑える効果があるといわれています。また、ご飯(特に玄米)は、パンやうどんに比べて血糖値が急激に上がりにくいといわれています。
特にご飯はビタミン・ミネラルなどの栄養素も含まれており、食事全体の栄養価を高める役割もあります。ご飯をまったく食べないのではなく、適量にしたり、食べ方を工夫することでダイエットの強い味方となります。
ダイエット中のご飯の量は、厚生労働省の食事バランスガイドを参考にすると、活動量に合わせて女性は1日300~500g程度、男性は1日400~700g程度が目安となります。
大槻 万須美(おおつき ますみ) 楽しく食べて健康に。食の大切さを正しく伝えるため、ママと乳幼児のための料理教室やアスリートの食事指導、特定保健指導など幅広く活動。
JA広報通信12月号より