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魅惑のバター【JAコラム】

2020年05月21日コラム

食育インストラクター●岡村麻純

2歳の娘が先日、バターをパンに塗って食べることを知りました。まだ油脂の取り過ぎには注意したい幼児期なので、調理に使うだけだったバター。初めて焼きたてパンにバターを塗って食べたときは2歳児なりの衝撃があったようです。

バターは牛乳に含まれる乳脂肪を凝集して固めた物です。一般的なバターには、重量の1~2%の食塩を添加する有塩バターと、無塩バターがあります。さらにバターを作る工程途中で乳酸菌を添加し発酵させた発酵バターもあります。発酵バターは焼くことで独特のこくと香りを引き出せます。バターも油の一つですが、常温で液体の「油」とは違い、動物性の油脂で、常温で固体の物が多い「脂」に当たります。

牛の脂の牛脂や、豚の脂のラードなどがバターと同じ「脂」です。この飽和脂肪酸を多く含む脂は、酸化しにくいという特徴を持っていますが、多量摂取は病気のリスクを高めることが分かっています。しかし、約80%が乳脂肪分のバターは、脂の中では消化も良く、幼児にも安心です。粘膜を守るビタミンAが豊富で、ビタミンDやカルシウムなど乳製品ならではの栄養も魅力です。

過去には国民生活を表現するのに、「バターか大砲か」という言葉が生まれるほど、人々にとって欠かせない存在のバター。この言葉が生まれた頃、バター不足に困り果てたナポレオン3世がバターの代用品を発明した者に懸賞金を出し開発されたのが、今のマーガリンの起源です。マーガリンはさまざまな油を原料にして製造された加工品で、原料の脂肪酸を変化させてバターそっくりの食べ物として作られています。

歴史を振り返っても分かるように、バターには皆が追い求める魅力があります。そこで、今までよりパンを焼くときに使うバターを控えめにして、たまには、トーストしたパンにバターを塗って食べる幸せな時間を、娘にも味わってもらいたいと思います。

岡村 麻純(おかむら ますみ) 1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。

公式ブログ:https://ameblo.jp/masumiokamura/

JA広報通信4月号より

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