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野菜もの知り百科 サトイモ(サトイモ科サトイモ属)

2020年12月20日コラム

土壌医●藤巻久志

ジャガタライモの名前が変化してジャガイモ、薩摩(鹿児島)から伝わったからサツマイモ、山で取れるから山芋、里で作るからサトイモ。芋類はでんぷんなどの養分を蓄えた部分が食用となります。ジャガイモは茎が肥大した塊茎、サツマイモは根が肥大した塊根、山芋は茎と根の特性を持つ担根体です。サトイモは塊茎ですが、外観が球状なので球茎ともいいます。

青シソの別名は大葉ですが、名前ほど大きな葉ではありません。サトイモの葉はとても大きく、ロータス(ハス)効果によって、雨が降ると水玉と一緒にほこりが流れ、葉がきれいになります。水玉自体も透明で軟らかくきれいです。畑でなくても、日当たりの良いベランダで深さ30cm以上の大型プランターで栽培すれば、観葉も収穫も楽しめます。

サトイモは種ではなく、種芋で増やします。種から増やす植物を種子繁殖、種芋や挿し木などで増やす植物を栄養繁殖といいます。栄養繁殖の親と子はまったく同じ遺伝子を持ち、形質もまったく同じです。

同じ根菜類に分類されるダイコンやニンジンの地下部は1本しかできませんが、芋類は複数個できます。サトイモは光合成をする葉が大きいので、10個以上できる品種が多いです。一般にサトイモは親芋の周りに子芋が付きます。代表的な品種の「土垂(どだれ)」や「石川早生」は子芋に孫芋が付きます。

混雑することを「芋の子を洗うよう」といい、この芋はサトイモです。昭和時代にはモーターで回る水洗い機を店頭に置き、皮をむいたサトイモを売る八百屋がありました。それを飽かずに見ていた団塊の世代は、家でも学校でもまさに「芋の子を洗うよう」な生活をしていました。

「里芋や昭和は遠くなりにけり」です。今はサトイモを電子レンジでチンすれば、皮はつるんと簡単にむけます。

藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

JA広報通信11月号より

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