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野菜もの知り百科 トウモロコシ(イネ科トウモロコシ属)【JAコラム】

2021年06月20日コラム

土壌医●藤巻久志

世界三大穀物は小麦、米、トウモロコシで、どれも単子葉のイネ科です。世界的に見ればトウモロコシは野菜(園芸作物)ではなく食用作物です。日本で食べられるスイートコーンは未熟のトウモロコシで、野菜に分類されます。同様に未熟の大豆を食すエダマメは野菜に、完熟で収穫する大豆は食用作物に分類されます。

トウモロコシには甘味種(スイートコーン)、硬粒種(フリントコーン)、爆裂種(ポップコーン)、馬歯種(デントコーン)などがあります。甘味種は未熟で利用しますが、他の種のほとんどは完熟で収穫します。爆裂種は粒の大部分が硬質で、炒めるとわずかな軟質部が膨張して粒全体がはぜます。甘味種は種皮が柔らかいため、炒めてもポップコーンにはなりません。

1970年代初頭に糖分含量が抜群の「ハニーバンタム」が発表され、大人気になりました。それまでのスイートコーンは「湯を沸かしてからもぎに行け」と言われるほど糖度の低下が早く、消費が限られた野菜でした。「ハニーバンタム」は糖度の低下が緩やかで日持ちするので、全国のスーパーに並び、トウモロコシは家畜の餌とされていた西日本でも食べられるようになりました。

「ハニーバンタム」は粒皮が口に残るのが難点でした。そこでイエロー種と皮の柔らかいホワイト種を掛け合わせたバイカラーの「ピーターコーン」が1980年代中ごろに開発されました。粒色は黄色が優性、白色が劣性なので、メンデルの法則通り黄色の粒と白色の粒の比率は3対1です。

現在はさらに育種が進み、イエロー種でも皮の柔らかい「味来」や「ゴールドラッシュ」などが主力品種です。ホワイト種も栽培されるようになりましたが、イエロー種の花粉が掛かると雌穂の所々に黄色い粒が入ってしまいます。トウモロコシは風媒花で、花粉は300m以上も飛びます。

藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

JA広報通信5月号より

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