お庭で野菜作り【JAコラム】
食育インストラクター●岡村麻純
わが家のお庭で、野菜作りを始めました。大きなプランターを使ったコンテナ栽培です。子どもたちと一緒に苗や種から選び、それぞれに担当を決めてお世話は責任を持ってもらい、上のお兄ちゃんには、その野菜について調べることもお願いしました。
夏には、ピーマン、ニンジン、ミニトマトにエダマメ、息子の希望で小玉スイカにもチャレンジしました。どれも身近な野菜ばかりでしたが、実際に育ててみると新しい発見がいっぱい。息子は雄花と雌花の違いを知り、「野菜にも、お父さんお母さんが必要なんだ、家族だったんだね!」と感動していました。
そして、何カ月もかけて育ててみた子どもたちの感想が、「野菜って、なかなか食べられるようにならないね。やっとできたのにこれだけ?」というものでした。まさに、これが、私が感じてほしかったことです。スーパーに行けば山積みにされている野菜たち。1袋にたくさん入っているプチトマト。野菜といえばその姿ばかり見てきた子どもたちにとって、毎日見つめてもなかなかできず、やっとできても、子ども2人で味見するほどしかできないことに衝撃があったようです。
食育活動において、野菜作りは定番のカリキュラムです。苦手な野菜を自分で作ったら食べられるようになった、そんな話もよく聞きます。それはとってもすてきなことです。でも、私が食育で最も伝えたいことは、食べ物が自分自身をつくっているということを理解して、食べることを大切にする。食べ物があるということに感謝して、食べ物を大切にする。この二つです。
子どもたちは、自分が時間をかけて作ったわずかなトマトを、胃に入っていくのを意識しているかのように、とっても味わって食べていました。その食べ物をいとおしむ感覚を知ってほしい、それが1番の願いでした。
さて、次の季節は何を育ててみようかなと家族会議が始まっています。
岡村 麻純(おかむら ますみ) 1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。
公式ブログ:https://ameblo.jp/masumiokamura/
JA広報通信8月号より