親子でパン作り【JAコラム】
食育インストラクター●岡村麻純
ある朝娘が、私が作ったパンを食べながら「パンって何からできているの?」と聞くので「強力粉と砂糖、塩、水、後はドライイーストとバターがあればできるよ」と答えると、作ってみたいと言うので、早速親子でパン作りを始めました。今回はホームベーカリーには頼らずに頑張りました。
小麦粉の中でもタンパク質含量の高いものを強力粉、少ないものを薄力粉、その中間のものを中力粉と呼びます。パンを作る場合は主に強力粉を使います。娘にとっては粉と水を混ぜるだけでもちもちになるのが不思議なようで、グルテン形成の説明をしました。グルテン形成とは、小麦粉に水分を加えて練ることで、小麦粉の主なタンパク質であるグリアジンとグルテニンが絡み合って、でんぷんを内部に取り込んだ網目のような塊ができることです。そこに加える塩はこのグリアジンの粘性を増し、グルテンの網目を緻密にするのを助けます。また、砂糖は安定性を高めます。バターは風味や、パンの耳のサクッとした食感を作ります。こうしてできた塊、つまり生地を酵母の力で膨らませて焼くことでパンが出来上がります。
娘は発酵によって膨らんでいくのが面白かったようで、少し過発酵になってしまいましたが、自分たちでこねて作ったパンは何よりおいしかったようです。
家庭で作るときには、材料を一度に混ぜて作る、直捏(じかごね)法という作り方をすることが多いのですが、大手のパン屋さんなどでは、まず材料の半分以下を生地にして発酵させ、後から残りの材料を加えてこねる、中種(なかだね)法で作るのが一般的です。こちらの方が、パンが大きく膨らみ、ふっくら柔らかくなるそうです。最近は「実験だよ」と言いながらキッチンに立つのが好きな娘と、次は中種法にもチャレンジしてみようと思います。
岡村 麻純(おかむら ますみ) 1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。
公式ブログ:https://ameblo.jp/masumiokamura/
JA広報通信3月号より