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-お米をおいしく楽しもう- 多様化する品種を前に、消費者が思うこと【JAコラム】

2022年05月10日コラム

五ツ星お米マイスター●小池理雄

「今年お薦めの新しい品種はどれ?」

最近はこういった質問がお客さまから出るケースが多くなりました。「お米は毎年新しい品種がデビューしている」という認識が消費者に広まっている証しですね。

私はイベントなどで「知っているお米の品種名は?」と質問します。しかしながらその答えはコシヒカリ、ササニシキ、あきたこまち、ひとめぼれ……止まりです。

「青天の霹靂」(青森)、「銀河のしずく」(岩手)、「雪若丸」(山形)、「だて正夢」(宮城)、「いちほまれ」(福井)など、毎年新しい品種がデビューしているにもかかわらず、です。

以前は「おいしいお米」は数えるほどでしたが、今の新品種はどれもおいしいお米ばかり。しかもそれらが雨後のタケノコのように毎年デビューしており、正直、消費者は付いていけません。何をどう選べばいいのか分からない。似たような名前ばかりで違いが分からない。そう、消費者は多様化する品種を前にして思考停止状態。だから冒頭のような質問をお米屋さんに投げ掛けるのです。

私は「お米マイスター」の有資格者です。ワインのソムリエのようにお客さまの好みをヒアリングし、その好みに合い、かつ予算の範囲内で最適なお米をお薦めしています。しかし、お米はワインと違い日常品です。そのため今までは品種の違いについて明確に消費者に説明する必要がありませんでした。

しかし今、日本人は初めて「多様な品種からお米を選ぶ時代」に遭遇しています。だからこそ供給側は品種の違いを消費者側に明示しなければなりません。例えば味の違い、どのような料理に合うのか、名前の由来は、などです。

今やそういったお米のスペックを比べて楽しむ時代です。この連載を通じて、そのような楽しさを皆さんにお伝えできればと思っています。

五ツ星お米マイスター
小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。

 

広報通信3月号より

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